2023年4月3日 20:30 CAT :
       

桃栗三年柿八年 柚子の大馬鹿十八年 竹の気違い百二十年

最近、自分が小説を書いていると言うのもあるかもしれないけれども、何となく人の小説が気になってる。

そんな感じで、最近なんだから新都社で更新されている漫画より、どっちかと言うと小説の方を優先的に読んでるような気がしないでもない。

で、先日完結した「SNS全盛時代のストラグラー」と言う小説を読んでおりました。

一応紹介。

【SNS全盛時代のストラグラー】

こちらの作品ですね。

ノンフィクションなのか、設定なのかは定かではないけど、リアルな描写からかなりノンフィクション寄りの作品なんだろうとは思う。

内容についての批評はまぁ、ここでするべきでもないと思うので、割愛するけど、この話を書いた経緯的な部分だけちょっと気になった。

この小説。のちに自費出版して、多分本屋さんに並ぶらしい。

「自費出版なのに、本屋さんに並ぶ」と言うこの話に途轍もない既視感を覚えたんだよ。

自費出版を流通に載せると言う事は、普通に考えると自分で各店舗もしくは卸業者さんに営業をかけて本を置いてもらうと言う手間が必要だと思う。(小説の内容の感じだと、営業回りされているとはあまり思えないし)

それをやらない場合と考えた時、チョッとだけ思うところがあった。

別に、この小説の作者さんに対してどうこう言いたいとかは一切ないし、自費出版されることに対しても、ただただ「すげぇ事するな!」としか思わない。

それはそれとして置いておいて、オレも過去に同じような形で自費出版で本を出しかけたことがある。

10年以上前の話。

当時、マンガではなく、小説を書いて色んな出版社さんに応募していたんだけど、その中のひとつの出版社から連絡があった。

内容としては「応募いただいた小説が、新人賞に当選したので、ぜひ書籍化についてお話しさせてください」と言う事だった。

そんな話が来たら、そりゃあ浮かれ倒しますって。特に、当時はまだチョッと「小説家になりたい」と言う希望も持ってたりしたんだから。

所が、実際に話を聞いてみると、「書籍化する」と言うのは「自費出版で本にしませんか」と言う意味で、しかも、そのための費用として100万円くらいかかると言われた。

その代わり、書籍化した本は、その会社から出版し、書籍コード「ISBN」も取得して、全国流通に載せて日本全国の本屋さんに並びます。と。

それはそれは悩んだよ。

でも、最終的には断った。

理由はいくつかある。

ひとつは、その時の担当のおっさんが言った「こんな素晴らしい小説は是非私も書籍化して、全国の方に読んでもらいたいです」と言う言葉。

もうひとつは、費用を取っておいて、その会社から出版すると言う方法。

前者について。実は、この出版社はこの自費出版事業以外にも、自社でも出版している。

もし本当に「全国の方に読んでもらいたい素晴らしい小説」なんだったら、何で自社出版ではなくて、オレが金を出す自費出版だったのか。と思った瞬間、急激に冷めていったんだよ。ただ、金とるために持ち上げてるだけだったのか。その為の賞だったのか。って分かってしまったから。

後者については、この出版の為の費用を出させると言う方法には圧倒的欠陥があった為。

会社がお金を出して出版した場合、その本が売れなければ会社が赤字になってしまう。その為、営業の人は少しでも本が売れるように各書店に話を持っていくし、少しでも売れる場所に本を置いてもらえるように交渉する。

そうじゃない今回のようなケースでは、会社は出版の為のお金を作者からもらってる(それも経費だけではなく、会社の利益を乗せた金額で)わけで、別に売れなくても赤字にはならない。

だから、一応本屋さんに並ぶように最低限の事はやるけど、それ以上は何もしない。売れるように営業をかけるような行為は一切しない。

実際、100万円かけたとしても、作者に入る印税はほとんどの場合数千円らしい。

その事について文句を言ったとしても「売れませんでしたね。今度は売れる話書いてくださいね」と言われて終わり。

詐欺だとは言わない。実際、本になって書店に並ぶんだから。

でもこれは限りなく詐欺に近いと思ってるんだ。

大体、ただの営業なのに「素晴らしい作品で新人賞に受賞しました!ぜひ、書籍化させてください!先生!」と連絡してくること自体がホント悪質甚だしい。

そもそも今の時代、わざわざこんな詐欺まがいの出版社に頼まなくたって、全国の方に作品を読んでもらえる機会は山ほどある。

オレも実際に、この時出版しませんかと言われた小説を、「新都社」に公開してそれこそ全国の方に読んでもらってるわけですよ。

「本屋さんに自分の描いた本が並んだことがある」と言う体験を100万円で買ったと思える人はそれで良いんだよ。ただ、例えば近所の本屋さんに自分の本を並べて貰うだけなら、自費出版して、その本をもって自分で営業すればいい。多分、10分の1くらいの費用でできるだろうて。

あとは、アマゾンとかでの販売も数千円でできる。

そんな時代に、敢えてこの出版会社から自費出版するメリットなんて皆無なんだよね。

どうせ、この会社に頼んだとて、全然売れなくてそのほとんどは作者さんの手元に返本されるんだから。その後の、営業は自分でやらないといけないんだから。

まぁ、今回のこの作者さんが、オレが騙されかけた出版社さんから本を出そうとしてるのかとか知りもしないし、仮に上記の内容を把握した上でそれでも本を出したいと思ってるかもしれない。

別に、その件に対してとやかく言うつもりはない。

ただ、オレはこんな経験をしましたよ。

と言うだけの話。

最後の良心として、会社名だけは伏せておきます。

伏せたところで、同じようなビジネスモデルで、作家になりたい人の夢に寄生してる会社いっぱいあるだろうから、どうでも良いんだろうけどね。

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