2009年10月14日 23:09 CAT :
       

籠の鳥、天空を知らず

かごの鳥
犬神サーカス団のニューアルバムが遂に発売になった。

大好きなんだよ。

大好きなんだよ。

とは言え、三沢の追悼興行にいったり、祭りに練習から参加したり、歌詞カードの絵を書いたりしてたら感想を書くのが随分と遅くなってしまった・・・

と言うか、どれだけマイナーになってしまったんだ?どこのお店に行っても売ってなくて、店員に聞いてみたら「あのバンドまだ活動してたの?」とか言われたよ・・・

ばかやろおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!
あまりにも腹立ったから、今回は、全曲レビューを書いてやる。

まぢでそうしてやる。

▼ ▼ ▼ ▼
DISC.1
1.餓鬼
大好きアルバム「御霊前」からの1曲。

元々の原曲よりかなりメタルになってカッコいい。

単純に演奏力が向上した事も関係あるかも知れないけれども・・・素晴らしい名曲。

ただ、当たり前かな。

原曲の持つ圧倒的恐怖は減ってしまってる。

当時の犬神サーカス団は演奏力などではどうしようもない何かを持っていたんだろう・・・サマーオブラブのカップリングと多分同じ音源。

リマスタリングはしてるかもしれないけれども・・・

2.少女地獄
コレもキチガイアルバム「御霊前」の1曲。

この曲こそ、昔の邪悪さあっての曲だと思う。

けれども、それはそれとして、充分に大名曲だと思う。

コレも、サマーオブラブのカップリングと同じ音源。

3.エナメルを塗られたアポリネール
同じく「御霊前」の1曲。

コレ・・・作詞は凶子さんだったみたい。

当時、高校生くらいだよな・・・多分。

どれだけ頭がいかれていたんだろう・・・ただ、この曲・・・「御霊前」の時より凄い事になってるような気がする。

これ・・・凄い曲だよ。

まぢで・・・

4.兄の病の特効薬は死臭漂う血の池地獄のような人肉スープの形而上学
原曲は、多分「えびす温泉ヒットパレード」に収録されてたヤツだと思う。

何となく犬神版「竹田の子守唄」を思い出す感じもするけど(ドラムだけか)・・・残酷な歌詞をキレイなメロディーと美しい歌声で聞かせると言う犬神サーカス団の真骨頂と言った所。

こう言う曲は、歌唱力、演奏力の上がった今の犬神サーカス団でこそ、充分に聞かせてくれる名曲だと思う。

5.赤痣の娼婦
コレは・・・「異形の宴」に収録されてたヤツだよな。

初めて聞いた。

情次兄さんの作曲だったとは・・・初期の頃の作曲は、明ばっかりだと思ってた。

原曲を知らないので、何とも言えないけれども、今新曲と言われても納得のクオリティー高い1曲。

6.廃墟の街
犬神サーカス団で1、2を争う美しい楽曲。

超名盤「地獄の子守唄」に収録。

・・・ただこの曲に関しては、折角の美しい旋律とボーカルが、強すぎるベースやその他の演奏陣のせいで埋もれてしまった事と、凶子さんの歌い方の変化で、原曲の方が良かったような気がする。

何だか、ロックバラードになってしまってる・・・

7.白痴
コレも「地獄の子守唄」収録の1曲。

当時から圧倒的な疾走感でオラオラいく名曲だったんだけど、今回、さらにスピードが上がって、さらにベースが強く前に出たことで、滅茶苦茶カッコいい曲になってる。

リバーブフルフルに使った遊び感覚と、ノリノリで何かに取り付かれてしまった凶子さんの「でもホントは馬鹿なんだろ?」が最高。

8.路上
コレも「地獄の子守唄」収録の1曲。

素晴らしく美しい曲。

「廃墟の街」よりは、原曲に近い編曲になってる分良い感じ。

ギターの弦をはじく音が入ってる事から、今回はエレアコじゃ無くて、アコギをマイクで録音したんだと思う。

生音のギターが原曲より臨場感を出してる。

ただ、原曲の方が、ボーカルはきれいだったような気がする・・・

9.地獄の子守唄
「地獄の子守唄」ですよ。

「地獄の子守唄」。

もう大好き過ぎる曲。

オレの書く曲なんて9割がこの「地獄の子守唄」のパクリといっても過言じゃない。

その位大好きな曲。

原曲よりキーが上がってるんで、パッと聞きチョッと違和感はあるものの、ほとんど原曲と同じ感じ。

と言うか、原曲の段階で完成され過ぎてたんだろうな。

あぁ~良い曲だ~ちゃんと最後の語り(「基準停止線の綱目」の歌詞のヤツ)もあるよ。

10.鬼畜
コレも、サマーオブラブのカップリングと同じ音源だと思う。

「蛇神姫」収録の名曲。

原曲より、アップテンポでノリノリ。

11.父親憎悪
「蛇神姫」収録の大名曲「父親憎悪」。

原曲では、アルバム全体として低音域を下げすぎていたので、ベースがコレでもかと前に出ている、このバージョンのカッコ良さは尋常じゃない。

ただ・・・凶子さんの語り部分が、何かあったのか?と不安になるほど未完成。

原曲の抑えきれない感情がこぼれてしまったような語りが見る影も無い・・・そこがあまりにも残念。

12.鬱病の道化師
「赤猫」からの1曲。

表題曲の「赤猫」や大好きな「けもの道」じゃなくて、「鬱病の道化師」を持ってきたのは、前述の2曲があまりにも完成度が高くて弄りようが無かったからなのか、この曲がライブの定番だからなのか・・・よく分かんないけど、マァ、この曲も名曲だし良いか。

原曲より、ノリノリに編曲されてる。

13.血の購い
「赤猫」収録の美しいバラード。

弟曰く「犬神サーカス団で一番きれいな曲」。

サビの低音から一気に高音に伸びていく凶子さんのボーカルは、確かに鳥肌が立ってしまう。

ボーカルの力がやっぱり落ちてるような気がするけれども・・・編曲は、素晴らしく良くなってると思う。

ラストに響いていた鐘の音がなくなってしまったのはどうしてだろう?
14.皆殺しのララバイ
オレが始めて買った犬神サーカス団のアルバム「残酷暗黒劇場」の1曲。

と言うか、3曲目に収録されてたこの曲を聴いて、犬神サーカス団にはまったと言う、思い出深い曲でもある。

(キンショーで言う所の「機械」みたいなもの。

)原曲よりも、アップテンポでメタルメタルしいけれども、奇異なメロディーラインはしっかり残ったまま。

文句無く原曲を超えてると思う。

うおおおおおおおおおおおおお
15.瓶詰めの胎児
同じく「残酷暗黒劇場」の1曲。

にして、このアルバムで一番好きな曲。

あえてこの曲をベストアルバムに収録してくると言う所がやっぱり凄いバンドだと思う。

こんな楽曲こそ、犬神サーカス団にしか作れない唯一無二の名曲。

しかも、原曲より細かいフレーズが増えて、それをタイトな音で聞かせているから、スカスカなのに厚いと言う素晴らしい編曲になってる。

16.この世の終わり
同じく「残酷暗黒劇場」の1曲。

お得意のタイトなロックナンバー。

原曲よりベースが強くなった分、よりロック色が強くなってる。

前奏部分の「お父さんお母さん先立つ不幸をお許しください」の部分のかっこよさは尋常じゃない。

2番の「お父さん」の連呼がなくなってるけど・・・そんな事は問題なし。

17.陽炎
この曲こそオレが犬神サーカス団で一番美しいと思う曲。

コレも「残酷暗黒劇場」の1曲。

この曲のボーカルの美しさは、原曲と勝るとも劣らないんだから、他の曲は、ワザとあんな歌い方をしてるんだろうなぁ・・・アコギの弦をはじく音までしっかり入っていて、臨場感もアップ。

1枚目の最後を飾るにふさわしい最高のミディアムバラード。

DISC.2
1.怪談!首つりの森
「怪談!首つりの森」の表題曲。

この頃から、少々コミックバンドのノリも入っては来るんだけれども、そのバランスが絶妙な名曲。

以前とかなり編曲が変わってる。

PVのイメージにバンドが引っ張られた結果こんな編曲になったんじゃないかと思う。

この曲のPVが実に秀逸な出来なんだって。

2.お金を払って!
「怪談!首つりの森」の1曲。

確かに良い曲だと思うけど、何故この曲が?と思ってた。

所が、聞いてみると実に良い感じに編曲されてる。

当時「怪談!首つりの森」はたった半年と言う短いスパンで作られたアルバムで、実は不十分な出来の曲もあったんだろう。

それを今回完全版にした。

そんな印象を受けた。

良い曲ですよ。

3.爆走All Night Long
「怪談!首つりの森」の1曲。

白塗り学ラン姿の男達が「爆走All Night Long」って・・・完全に狙ってるとしか思えない楽曲。

「怪談!首つりの森」発表当時から、「何でやねん」と何度突っ込んだ事か。

ただ、明のツーバスと情次兄さんのカッティングがめちゃめちゃカッコいい。

こんな曲こそ、本気でかっこよく弾いてるんだろうな・・・この人達は・・・

4.黄泉の国
「神の犬」収録の1曲。

コミックバンドとしての犬神サーカス団のひとつの到達点。

(もうひとつはスケ番ロック)発売当時も話題になった、韻は踏んでないし、語呂も悪いし、まず何より別に必要ない、男3人によるラップが最高な1曲。

黒歴史として、闇に葬られたのかと思ってたら、満を持してこのアルバムで復活したようで・・・音圧の高い編曲のかっこ良さは申し分ない。

ラップの部分もあえてあのままなのだろう。

5.早死するのはスターの運命
「神の犬」収録の1曲。

ホントは「洗脳」と2つで1つの曲だし、アルバム自体がひとつの物語なんで、1曲だけを取り出すのもいかがなものかと思ってた。

でも、それを置いといてもカッコいい。

こんなカッコいい曲だったのか?と思えるほど、こだわりぬいた編曲は、聞き応え満点。

6.退化
「命短し恋せよ人類」のカップリング。

メジャー第一弾シングルのカップリングとも言える。

とは言え、正直あんまり聞いてないんで、あんまり記憶に無い。

普通に素晴らしい曲なんだけど・・・「右から左に」で、ムーディー勝山を思い出した。

7.愛の亡霊
メジャーサードシングル「都合の良い女」のカップリング。

発売当時、この超コツコツ日記で「都合の良い女」収録曲で一番好きと豪語してた名曲。

所が、その後はアルバムに未収録のまま・・・今回の収録が凄い嬉しい。

そして、原曲をはるかに超える密度の濃い編曲。

素晴らしすぎる。

カッコよ過ぎる。

特に間奏部分。

どうやって演奏してるのか良く分からないけど、何だかカッコいい。

8.需要供給の法則
同じくメジャーサードシングル「都合の良い女」のカップリング。

ノリノリの自虐ソング。

原曲よりアップテンポで、凶子さんのボーカルも前よりノリノリ。

聞いてるほうもゴキゲンになってくる。

原曲を録音してる時には、メジャーって事に嫌気がさしてたんだろうか?「演奏いけてるバンドでも 売れなかったらただのゴミ」ってお前らが言うなよ・・・

9.スケ番ロック
コミックバンド犬神サーカス団の集大成。

「スケ番ロック」収録。

表題曲でもあって、カッコいい曲なんだけど、いかんせん「スケ番ロック」って・・・サビの所の耳障りだったエレアコのアルペジオが無くなった分、今回の編曲の方が良い感じ。

ノリノリでカッコいい。

「暴走決めろ!スケ番ロック!!」って・・・スケ番は暴走族じゃあないような・・・レディースと勘違いしてないか?
10.平成デモクラシー
この前、犬神サーカス団のライブに行った時にやった曲だ。

コレも「スケ番ロック」収録。

コレを聞くと、あのライブで踊ってたのを思い出す。

発売当初、「HEY!!SEY!!」ってダサ過ぎるだろう・・・と思ってたら、数年後、まさかのジャニーズからこのダサい名前を付けられたグループが出てきた時には複雑な気持ちになったもんだ。

ギターソロが原曲よりかっこ良くなってたり、間奏で明がツーバスをやってたり、細かい所で編曲が変わってる。

と言うか、密度が濃くなってる。

11.太陽を待ってる
同じく「スケ番ロック」に収録。

・・・ただ、何故この歌?どうせなら「最新型アンドロイド」の方が良かったような・・・

12.自殺の唄
もうココまで来るとほとんど、アルバム収録の原曲と差がなくなってくる。

この曲は、「形而上のエロス」収録の1曲。

この曲に関しては、原曲くらいにタイトな編曲でも良かったんだけれども、マァ、こんな編曲もありか。

何となく、音全体が中音域でモヤモヤしてるような印象はある。

凶子さんのボーカルにかかるエフェクトはいらなかった
13.道行き
「形而上のエロス」収録の大名曲。

原曲よりアップテンポになって、かなりノリノリ。

この曲の大好きなベースラインが、ベースの音が変わって(前よりこごもった音になった)後ろに引っ込んでしまった分だけが残念・・・前奏で「ロックンロール」って言うシャウトがある。

前から思ってたんだけど、この人達のジャンルは絶対「ロックンロール」じゃあないと思う。

14.妄想天国
コレも「形而上のエロス」収録の1曲。

原曲よりアップテンポで、ギターの音が全体的にタイトになってる。

あと、バスドラがかなり強くなってる。

ノリノリ良い感じ。

15.かわいい音頭
ライブの定番曲。

初の音源化。

こんな曲を出来るバンドこそ犬神サーカス団だと思う。

う~ん名曲。

凶子さんが「あたいはモテモテ」って歌うと、何となく切なくなってしまうような・・・歌詞カードでは、キチガイを「基地外」と表記してた。

16.籠の鳥
今回唯一の新曲。

15年の集大成。

15年間活動してきて、まだココまでの楽曲が出てくるとは、ドコまで底知れないバンドだろう・・・「地獄の子守唄」を髣髴とさせる前奏から始まるこの楽曲。

もしかしたら、このアルバムで(と言うか、犬神サーカス団の全楽曲で)最高傑作かも知れない。

それほどの超名曲。

15年間の活動の履歴を考え、歌詞カードを読みながらこの曲を聞いていると、涙が溢れてきた。

15年の全てが出てきた1曲。

この1曲の為だけにも、このアルバムを買う価値がある。

そう断言できる絶対の名曲で、このアルバムはおしまい。

ベスト盤乱発のこのご時世においてでさえ、全ての楽曲を全て編曲しなおして、新録するバンドが一体どれほどいるだろうか?しかも、前のベストアルバム「グレイテストヒッツ」と1曲も被っていないと言う層の厚さ。

選曲も、ドメジャーな所じゃなくて、各アルバムを100回繰り返して聞いたとき、それでも最後まで残るだろう、まだ聞き続けていたい、本当の名曲だけを選りすぐっている。

オレが、チョッと前に犬神サーカス団の全楽曲から好きな曲だけを取り出してCDに焼いた時、選んだ曲は「地獄の子守唄」からは、「廃墟の街」「夜が終わっちまう前に」「白痴」「路上」「地獄の子守唄」だったし、「蛇神姫」からは、「鬼畜」「背徳の扉」「父親憎悪」だったし、「残酷暗黒劇場」からは、「皆殺しのララバイ」「瓶詰めの胎児」「この世の終わり」「陽炎」だった。

こんな聞き応えのある、名盤を世に出してくれてありがとう。

んで、「あのバンドまだ活動してたの?」って言ったあの店員に、このアルバムを聞かせて土下座させてやりたい。

ふえ~さすがに疲れた。

そして、長かった~・・・

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2 thoughts on “籠の鳥、天空を知らず

  1. SECRET: 0
    PASS: 1dcd11714e3197746fa7c199b0d3a7c0
    とても丁寧に感想が綴られていますね。

    バンドに対する愛を感じました。

    籠の鳥は犬神流バラードの集大成だと私も思います。

  2. SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    ホント「籠の鳥」は素晴らしい曲だと思います。

    犬神サーカス団には、これからも素晴らしい曲を書き続けてもらえるよう、心から応援してる感じです。

    また、ライブ行きたいなぁ~

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