2013年11月4日 1:05 CAT :
       

アウトレイジ ビヨンドについて長々と語る人

娘のために、記念樹を買った。

実は、オレの地元善通寺では、「花遍路」なる庭好き同士が、自慢の庭を一般的に開放して見せ合い、褒め合うと言う見ようによっては単なる馴れ合いな行事がある。

コイツが他人の家を、勝手に縦横無尽に見て回れるので、結構面白いかったりする。

そんな中で、ある家のおじいちゃんが、庭の一本の木を大切そうに撫でながらオレに「この木は、そこの山に入って取ってきた木で、この家で一番古い木だ。

もう、40年以上前になる」と嬉しそうに語ってくれた。

オレも、年老いたあとには、手入れと言えるか分からない雑然とした、でも伸び伸びとした庭に、馴れ合いで褒めう人をたくさん招いて、「この木は、50年前に初めてこの庭に植えた木だ」とか言いたい。

と、チョッと思ってた。

だから、嫁が「娘のために、記念樹を植えよう」と言ってきたとき、即答でOKした。

最初は、ネットで買ってもいいかと思ったけど、目で見て、いい木を買いたい。

と、植え木の町鬼無まで行ってきた。

そして、いろんな木を見て、娘にぴったりの一本の木を買ってきた。

今は、借家だから、植える事はできないけど、いつか、終の棲家と決めた家に埋めようと思う。

さてさて。

楽天イーグルスが、9年目にして、初の日本一になった今夜。

オレは、嫁と2人で、娘を寝かしつけたあと、「アウトレイジ・ビヨンド」を鑑賞してましたよ。

(野球には、全く興味がない。


まぁ、昨日の今日で、まだまだテンションダダ下がりの中、嫁から提案されたので、それに乗っかって元気になろう。

みたいな事もあったりなかったり。

いつも通り、ネタバレを含むので、続きに書いておく。

スマホ、ケータイで見てる奴は、ここでタブか何かを落とすよろし。


正直、前作「アウトレイジ」を見た瞬間、度肝を抜かれた。

「なんだ、この映画わ!!!!」と。

淡々と突き進むストーリー。

セリフのあんまりなくて、画面全体が暗い。

そして、本当に登場人物全員が悪人。

セリフは少ないけれども、役者さんそれぞれの演技が尋常じゃなくうまくて、1シーンごとの情報量が異常に多い。

その全て(かどうかは、わからないけれども)を読み解いていき、そして、それに少ないながらも、セリフの真意を当てはめていくと、実は、全員のとにかく深い心理までかなり計算されて、描写されている。

さらに、何がすごいって、なのに。

なのに、誰ひとりとして、人としての情と言うものを持ち合わせず、びっくりするほど冷酷で、見終わったあとには、ただ、寒気がする。

と言う・・・

「さや侍」見て涙した。

松本人志と言う監督は、世間で避難されているような監督じゃない。

と思ってる。

思ってるけど、一部で言われている、同じ芸人出身の映画監督として、北野武を同列。

または、北野武の跡を継ぐ的な表現をするんじゃない!!ピシピシとも思ってる。

そのくらい、この「アウトレイジ」は面白かった。

ただ、少しだけ物語に綻びがあったようにも感じた。

それは、初見では全く気にならず、散りばめられた情報をできるだけ掬いとろうと10回以上見た位で、チョッと心に引っかかった程度だとは思う。

(これだけ繰り返してみた映画は、多分他に「ファイトクラブ」位しかないような…)
で、長くなったけど、「ビヨンド」だよ。

「ビヨンド」では、前作の綻びを見事なまでに修復し、そして、続編らしく規模を広げ、さらに、エンターテイメント映画として、見事に昇華させてた。

まだ、初見で感想書いてるので、今後、評価は変わるかもしれないけど、取りあえず、おもしろすぎた。

面白すぎて、ホントは寝なきゃいけないのに、ドキドキして寝れないから、こんな長ったらしい文章を書いてる。

もうね。

、ストーリーの補完も完璧だけど、何より、演出が素晴らしい。

役者が、それぞれが単純に主役をはれるすごいメンツなので、演技などに違和感はほとんど感じないし、そして、この役者にこんな事をやらさるのか…と言う凄み。

花菱会のシーンで、あの西田敏行を画面の端に追いやって、いかつい顔のヤクザさせてるとか豪華すぎだと思う。

(しかも、その西田敏行が、ナイトスクープのおっちゃんだと忘れてしまう位演技すごいし)そもそも、中尾彬を使っておいて、あんなチョイ役みたいに使い捨てにしたり、一言もセリフないけど、やけに存在感あるなと思ってたヒットマンが高橋克典だったり…どういう映画だよ。

ホントに…
そして、どうやってこの物語を収束させるのかと思ってたら、あのオチ。

10時間くらい見たのかと思う圧倒的密度で、2時間ないんですよ。

この映画。

今日日、この時間でこんな密度なんてありえない。

もし、ハリウッドで、「ハリーポッターと大友・木村」を制作するんなら、同じ内容で最低でも3部作にはなってる。

(しかも、1つにつき3時間近くあって。

)そのくらい密度が濃かった。

もう、戸にもかくにも、あまりにも面白すぎて、普通に書くと単なる賛美にしかならないので、逢えて、その中、チョッと惜しかった部分でも書いておくか。

(すでに、賛美してしまったけど)
取りあえず、今作は大人の事情があったのかもしれないけど、とにかく、前作と比べると、エンターテイメントに徹した感がすごく強い。

前作の淡々とした寒気のするような、嫌悪感混じりの恐怖は、今作では息を潜め、ハラハラドキドキ。

そして、見終わったあとにすごい「面白かったぁ~」ってなる。

すごい事なんだけど、前作で、ここを好きだった人はもしかしたら、がっかりするかも知れない。

(オレはならないけども。


もう一つは、人の殺され方がチョッと短調だったと思う。

前作の椎名桔平のようなゾクゾクする殺され方があまりなかった。

基本的に、銃でめった撃ち。

ドリルと、木村の子分が殺されるシーンはすごく良かったけど。

特に、加藤会長が殺されるシーンは、頭の中でこうなるだろうな。

と思ってた通りの殺され方で残念。

あそこが、前作の椎名桔平バリの衝撃的な殺され方なら、多分この感想は持たなかったように思うけれども。

(そのくらい、前作のあそこのシーンは本当に凄かったんだって。


んで、最後は、何となく人情ものな任侠ものな要素が入っちゃった事。

これについては、なんか北野監督が、どっかで「人情ものは、仁義なき戦いとかでやり尽くされてるから自分が取るなら、こう言う映画になると思う」的なことを言ってたような気がする。

その通りで、前作では徹底して、どの人間も人としての情がない。

唯一、大友が水野に「隠れろ」と言うシーンくらいか。

だからこそ、あのシーンがすごく印象に残ったりするんだけど…今作では、基本的に、大友・木村の仁義ありきで、物語が展開していく。

それどころか、花菱会が、その人情に頼って計画を立てたりする。

この部分が、中心にあったために、前作のような深みのある心理描写も影を潜めていたのかもしれない。

って言うか、これ全員悪人か?って思うと思う。

ただまぁ、この人情がなければ、前作以上に今作も、どす黒い気分になっただろうし、エンターテイメント路線を目指す意味では、この部分は必要不可欠だったのだろう。

(だったら、アウトレイジの続編にするなと言う意見もあるかもしれないけど、その辺は、大人の事情もあったんだと思う。


と、つらつら書いては見たものの、こんなもん、所詮重箱の隅をつつく行為でしかない。

単純に素晴らしい作品な訳で、素晴らしすぎたから、なんか意地でも、ダメなところも挙げてやる程度のもんです。

なんか、前作の物語がここまで規模を大きくして帰ってきたのかと思えば、それだけで、ドキドキするのに、内容を見れば、それ以上素晴らしく目眩く世界が広がってた。

世界の北野監督。

さすがです。

ただただ、圧倒されました。

見といて損はない作品だと思う。

特に、「邦画とかつまんねぇ~よ」と言うヤツは。

邦画の底力を垣間見れる素晴らしい映画だ。

ホントに。

見るときは、是非、「アウトレイジ」「ビヨンド」セットで見たほうがいい。

どっちかだけしか見ないんだったら、「アウトレイジ」だけにした方が良い。

絶対にだ。

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