- 2015年2月26日 22:51 CAT :
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このビチクソ野郎に復讐するために振り上げたまま行き場をなくし なよなよと振り下ろした拳
少しだけ、昔語り。
オレが中学生のころ、「たまごっち」と言うおもちゃが流行に流行った。
同世代のヤツなら、分かるだろうけど、この流行りっぷりが尋常ではなく、とにかく、どの店に行っても売り切れ売り切れ。
持ってる奴は英雄。
今で言う「売り切れ商法」の走りみたいなもんだったと思ってる。
これ以降も、ハイパーヨーヨーから、今で言う妖怪ウォッチなどなど色々売り切れ商法はあったけど、正直、たまごっちの時と比べると、そんな大したもんでもないと思う。
子どもはとにかく、大人なら(親なら?)どうとでも手に入れる方法がある今とは違い、本当に、当時はどんな奴でも手に入れる事が出来なかった。
ところが、オレの周りに、そのたまごっちを持ってる奴がいた。
しかも、何個か持っていた。
正直、実物を目で見る事すら、ほぼ出来ない状況の中、そいつは、幻とも言われていた白色すらも持っていた。
とは言え、オレは、そいつの事が大嫌いだし、そもそも、そんな話するほどにも仲良くない。
(そもそも友達がいなかったと言う事は、置いておいても、オレの方から嫌いだったし、本当に、話もしない奴。)
ただ、そいつとは、地元の祭りに参加している。と言う接点はあり、話しかければ、何とか話出来なくもなかった。
どうしても、たまごっちが欲しくてしょうがないオレは、そいつに話しかけた。
「それはどこで手に入れたの?」と。
すると、滅茶苦茶意外な答えが返ってきた。
「○○で、普通に買える。
あの店は、実は、在庫持ってるんだけど、常連とか知り合いだけに融通してるから、それ以外の人には売り切れって事にしてるんだ。
オレは、あそこの店長と仲良しだから、譲ってもらった。」
と・・・・○○。
とは、一応伏字にしておくけど、当時結構大手なおもちゃ屋チェーンで、オレの家から徒歩3分のところにある店。
しかも、オレは、おもちゃを買うならその店でしか買わない位通い詰めてた自称常連客。
(当時、なぜか、常連客と言うものに憧れてた。)スタンプのたまるメンバーズカードも持ってるし、誕生日とかには割引付きのはがきが届いていた。
最後に、そいつは「お前も、話してみたら?在庫は全然たくさんあるから、運が良ければ、譲ってもらえるかもな。」と言って、たまごっちのうんこの世話をし始めた。
学校から帰ったオレは、出来るだけ自分がその店に通い詰めている証拠を集めた。
お誕生日のはがきや、たまっているメンバーズカード、最近お店に行ったレシートなどなど・・・
お小遣いも足りなかったので、ばあちゃんに頼み込んで「どうしても、欲しいものがあるから2000円貸して!お小遣い貰ったら、すぐ返すから!!」と、2000円貸してもらった。
意気揚揚と、その○○に向かったけれども、おそらくその店にも、たくさんの問い合わせがあるんだろう、入り口にも、店の中のいたるところにも、そして、レジにも「たまごっちは売り切れです。
次回入荷は未定です。」と言う張り紙がしてあった。
正直、ここで本当に買えるのか・・・不安がよぎった。
たまごっちを持ってたあいつの事も考えた。
あいつをオレが大嫌いだったことにも理由がある。
あいつはオレに嘘をついて、素直にそれに従ったオレに対して「本気にするなよ。」とバカにして周りのやつらと一緒に笑い物にするからだ。
それも、何度も。
何度も・・・
今更ながら、そんなヤツの言う事を信じていいのか・・・
明日、学校で「あいつまぢで信じて、○○に行ったんだって。
有るわけないだろ。
ばぁ~か!!」とか、全然有り得るヤツだ。
でも、もし本当だったら・・・
オレは、どうしても、たまごっちが欲しかった。
意を決して、オレはレジに向かい、そして、「あの・・」と声をかけ、相手の反応も見ずに、持ってきていた証拠の数々を見せながら、自分が如何にこの店に通い詰めているかを語り倒した。
店員としては、何かクレーム的なものかと思ったのかもしれない。
「何が言いたいんだよ・・・」と言う表情しながら「はぁ・・・」と気のない返事をしていたように思う。
そして、最後に・・・
「・・・と、僕、よくここを利用してるんですけど・・・たまごっちって、ありますか?」
と、聞いた。そのときの店員の態度は、正直、今でも忘れない。
(子どもの頃の記憶なので、多少強調されているだろうけれども。)
大人気ないと思われるかもしれないけど、それでも、忘れない。そして、許せない。
その店員は、深いため息をついたあとに呆れた顔で、「君も中学生にもなるんだから、この位読めるだろ?」と、胸ポケットに指してあったボールペンで、張り紙の「売り切れ」の文字を指した。
そして馬鹿にしたように「フッ」と鼻で笑われた。
それから、しばらくの記憶はない。
その日一日。
どころか、それから数日の記憶がない。
覚えているのは、すごいショックと、あの店員の態度だけ。
結局、たまごっちは手に入らないまま、数ヵ月後にはブームも終わり、「いまどき、たまごっちとか持ってるの?」な存在と化していた。
オレも、たまごっちなんてどうでも良くなってた。
ただ、オレは、あの日以降一度も、あのおもちゃ屋には行っていない。
ついでに、できるだけ多くの友達(と言うか、話ができる部活の仲間とか)に、この話をして、「○○不買運動」をやった。
比較的、賛同してくれるヤツも多かった。
同じように、玉砕したヤツも多々居たらしい。
そして、数年後、その店は潰れた。
これをオレは、自分の不買運動が成功したからだと思ってたけど、今考えれば、たかが中学生10人程度の不買程度で店が傾く訳がないよな・・・
まぁ、その10人は、オレと同じくらいには、その店を利用してた様な気がするから、(誕生日やクリスマスの大きなおもちゃ、それ以外に、プラモデルとか、ミニ四駆とか、塗装材料や接着剤、その他カードダスやガチャポン位か?)年間で十何万程度の損害にはなっただろうけども。
この話には、後日談がある。
この店は、レジカウンターがお店の真ん中にあり、360度を通路に囲まれていた。
実は、この店では、どうやら本当に「たまごっち」を隠し持っていており、レジの下においていたそのたまごっちを、店員の後ろから覗き見して発見したやつがいたらしい。
その事はチョッとした問題となった。
ところが、店側はそれに対して、まったく反省せずに、レジカウンターを壁側に移動させ「これでもう覗けないだろう。」と言う謝るどころか強気の姿勢に出た。
それが、反感を買い、客足が尋常じゃなく遠のいていき、数年後には閉店してしまったという話だ。
その話を聞いたときには、なんだか複雑な気持ちになったような記憶がある。
何で、こんな話を急にしようと思ったのか・・・と言うと、調子に乗った経営してると痛い目見るよ。
とか、そんな説教じみた話じゃない。
もし、今の時代だったら・・・と言う仮定で、妄想してみた。
オレは、間違いなく、ブログやSNSで徹底的に、この店での事を書き殴ってたと思う。
店名、住所、店員の実名など全て含めて。
今で言う、「炎上」を絶対に起こそうとしていたと思う。
炎上は、起こした側も、起こされた側も致命的なダメージを受けるので、もし本当に炎上してしまえば、きっと、オレの人生も、そこそこには狂って居ただろうて。
その手段がないから、せいぜい友達内で「あの店で買うのよやめようぜ」とか、そんな話で終わってたんだ。
オレは、時代に救われたよな・・・と、思う。
でも、一方で、チョッとした不手際が、クソボコに叩かれる現状で、果たして、あの店員は同じ対応をオレにしたのか・・・あの時代じゃなければ、未だに引きずるようなショックを受けなくてすんだんだろうな。
とも思う。
今でも、店員に話しかけるのとか、メッチャ苦手なのは、この時の経験のせいだろうし。
まぁね。
そんな事をふと思ったわけですよ。
以上。
どうでも良い、昔語りおしまい。
最後に、ネットで拾ってきたたまごっち初代の画像でも載せておこう。
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