- 2015年4月13日 23:01 CAT :
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かぐや姫の物語についての感想 2年桃組 しもたろうに
アンパンマンってコスパ悪すぎるように思う。
ちょっと水に濡れただけとか、一部分だけかけただけで全部取り換えないといけないとか・・・
あれ、結構なでかさだから、小麦粉もアンコも結構使ってると思うんだけどね。
いや、アニメとかにそんな事言うのは野暮ってものでしょうかね。
さてさて。
高畑監督の新作「かぐや姫の物語」が、準新作になってたので、レンタルしてきて見た。
正直、「風立ちぬ」より見たかった。
(と言うか、「風立ちぬ」はまだ未見。)
と言うことで、今日のところはその感想でも・・・ネタばれたっぷりするので、未見の方は、ここでブラウザを閉じるよろし。
と言うことで・・・
年を取ってから、高畑監督の作品の方が面白いような気がしてきていたので、相当楽しみにしていた「かぐや姫の物語」。まず、予告編を見ただけで、「なんじゃ!!この映像美は!!!」となった。
そして、娘の成長を見守っているいちお父さんとして、かぐや姫の成長度合いに対する共感具合が半端なものではなく、予告編だけで泣いてしまった。
「いまの全てが 過去の全て」
この歌にも心が震えた。と、アホみたいに期待しまくってみた「かぐや姫の物語」。
先に結論を描いてしまおう。
映像美はホント凄まじい。
でも、たぶんガッカリする。
理由を長々と説明しますよ。
(まぢで、長くなるよ・・・たぶんね。)
とにかく、この映画の見所は、圧倒的な映像美だと思う。これはホントに凄い。
凄まじい。
日本人が美しいと感じるであろう、線が生き生きとしている日本画。
その1枚絵が、動くんだよ。
それも、何の違和感もなく。
1枚絵が動く。
と言うのが、一番的確な言葉だと思う。
もちろん、ジブリ作品なので、TVアニメのようなカクカクとした箇所なんて一切ない。
滑らかで、アニメである事を忘れてしまうほど自然。
本当に、最初から最後まで、細部にわたって作りこまれている事が、オレみたいなド素人でも分かる。
ついでに、声に関しても、宮崎作品と比べると不思議と違和感がない。
同じように、声優さん使ってないのに・・・
演出面に関しては、文句などあるはずもない。
いや。
もうね。
本当に、凄いよ。
なんじゃ?このクオリティーは!!ってなる。
宮崎作品の場合、どうすればそんなの思いつくんだよ。
と言うような、現実感のない表現を自然に演出し(そんな事が出来る人が、そもそも宮崎監督位しかいないんだろうけど)、それが強烈に印象に残る。
でも、高畑作品の場合には、何でもない普通のしぐさを常軌を逸したリアリティへの追及で普通に表現し、それが強烈に印象に残る。
・・・と思ってる。
今回も、その高畑作品の特徴が凄く出てる。
あんな絵なのに。
唯一、今回、そうじゃなかったのは、あの賛否両論を呼び起こした最後のシーンだけだと思う。
ただ、その分、あのシーンは、本当に圧巻だった。
独特な音楽も相まって、本来なら悲しいだけになるであろうあのシーンで、明らかに異質な感じと、少しの恐怖を見る人に植え付ける。
良く考えたら、物凄く悲しい。
何の救いものない最後なのに、嫌な感じはしない。
と言うか、こんな感情初めて。
何と表現したらいいのか分からない。
怖いし、悲しいし、ホッとするし、そして少し面白い。
極限まで煮詰めたリアリティの先にある非現実。
と言う、矛盾を体感できるシーンだと思う。
演出に関しては、ホント、こんな凄いの見たことないよ。
・・・では、なぜ、その上でも、がっかりするのか・・・について。
理由は、もう本当にひとつだけ。
「誰でも知ってるかぐや姫だから」。
でしかない。
いやね。
もう本当に、最初から最後まで、誰でも知ってるかぐや姫だよ。
多少、オリジナルキャラはいるものの、これからどうなるのかについて、誰もが知ってる。
そして、その通りになる。
高畑監督が、この映画のキャッチコピー「姫の犯した罪と罰」と言うものが凄く嫌だった理由が分かったよ。
そんなコピーつけたら、「かぐや姫を題材にしつつ、そこからさらに膨らましたのかな?」と思うもん。
実際には、そんなもの何にもない。
本当に、かぐや姫。
最初から最後までかぐや姫。
竹から生まれたかぐや姫が美しく育って、貴族や、帝から結婚を申し込まれるけど、無理難題を出して断り続けて、月に帰る。
それだけを2時間以上の時間をかけてやるだけだよ。
これを、退屈せずに見続ける事が出来るのは、ひとえに、前述の圧倒的映像美と完璧な演出があるからに他ならない。
多分、高畑監督でなければできなかっただろうて。
それは、間違いない。
でも、本当に、「ただのかぐや姫」なんだよ。
ひと思いに「セロ弾きのゴーシュ」の時みたいに、1時間くらいでまとめていたら、凄まじい名作になったんだろうけど、その部分がどうしても引っかかる。
あと、最後の「不老不死の粉」のくだりが、なぜかカットされているのも・・・
尺の関係でカット・・・とは、考えにくいし、何でカットしたんだろう。
「ほたるの墓」とチョッと被るからかな?
翁が不老不死の粉を焼く。その煙が立ち込める少し悲しい画面。
「不老不死の粉を焼いた山は、その後、不死の山。
富士山と呼ばれることになったそうです。」的なナレーション。
しばらく富士山の絵。
背景が写実的になる。
後ろに飛行機とかが飛ぶ・・・エンディング。
(「いまの全てが 過去の全て」の歌詞にもつながる?)
みたいにした方が、分かりやすかったのでは・・・とか、素人のオレなんかは思ったりするけどね。まぁ、そんな誰でも思いつくような終わり方はダメだろうけどな。
ただ、ダメな映画。
と言うことではない。
おそらく、今後日本の映画界で二度と作られることのない、超絶名作である事は間違いない。
ついでに、たぶん、これから10回、20回、100回と見れば見るほどに、新しい発見があり、どんどん好きになっていく映画なのも間違いない。
(「セロ弾きのゴーシュ」、「おもひでぽろぽろ」がそうだから。)
取り合えず、日本人として生まれたなら、一度は見ておかなければいけない映画だと思う。いやね。
この映画が公開された当時生きていて、当時の空気を知っていると言う事を、たぶん、後世になると羨ましがられるとか、そのレベルの作品だと思うよ。
言い過ぎじゃなくて。
高畑監督の作品・・・何でも、今度は「平家物語」の構想があるとか・・・
物凄くみたいです・・・
現実的に厳しいだろうし、この「かぐや姫の物語」ほどのクオリティは難しいかも知れないけれども。
やっぱり長くなったな・・・
でも、こんなものじゃないくらい、もっと語りたい事はある。
それは、あと100回くらい見た後にだな。
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2 thoughts on “かぐや姫の物語についての感想 2年桃組 しもたろうに”