- 2008年4月12日 23:45 CAT :
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手塚ノーツの02
いつか見たBSマンガ夜話の手塚治虫特集でも取り上げられてた「W3」。
「やけっぱちのマリア」の次はこの手塚治虫中期の代表作「W3」だ。
講談社との絶縁宣言の原因(いわゆる「W3事件」)ともなった色々曰くつきの名作。
劇画調になる直前、時期的には最も乗っていた時期に描かれたこの作品は、当時の時代からするとかなり斬新的な設定だと思う。
言ってみれば「さらばキー坊」。
戦争や殺し合い、核兵器の開発などを繰り返す野蛮な地球に果たして存在価値があるのか?それを確かめるために宇宙連邦から地球に派遣される「W3」。
「W3」はその結果如何では、地球を破壊する事が出来る反陽子爆弾なるモノを持って地球にやって来る。
この設定自体、どちらかと言えば青年誌。
どう考えたって、暗い話になりそうだし、残酷な描写がいっぱい出てきそうだし。
マァ実際、残酷なシーンがたくさん出てくる。
でも掲載紙はバリバリの少年誌。
「サンデー」。
今ならマァ別に少年誌で残酷な話をしても良いけれども、梅図かずおも台頭してない当時はすぐにPTAに目を付けられて、槍玉に挙げられそうなもの。
所が、全部を読んでしまうと、本当にそんな重い設定があったのか?と思うほど、少年マンガ。
それどころか、当初のテーマ以外にも難しいテーマがたくさん出てくる。
それでも、その一つ一つがコミカルタッチで、ストーリー自体はとても明るい。
暗い話を暗く描くこと。
重い話を重く描くこと。
は意外と簡単だけれども、暗く重い話をそのテーマをブレささずにコミカルに描くことは物凄く難しい。
それをやってのける事が出来る人間なんか、今じゃきっと「しりあがり寿」と「漫 画太郎」位しか居ないんじゃないだろうか?
深く重い設定をコミカルになりすぎず、テーマが置いてけぼりになりすぎず、しかも、ある程度の長さできちんと完結させる。サラッとやってのけてるけども、実は物凄い事。
で、またラストがなぁ~さすが手塚治虫といった感じだけれども、そこはそれ。
ネタバレになるので・・・この辺で。
ちなみにオレが一番印象に残ったのは「一つ目国の話」。
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