- 2017年11月26日 3:02 CAT :
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ファニーゲームと言う胸糞くない映画
今日もまた、お仕事の傍ら、映画を見ておりました。
・・・と言う話を嫁にしようと思ったら「怖い映画ばっかり見てるから、話聞きたくもない」と言われた。
むむむ。
確かに、最近、エログロ系ばっかり見てたからな。しゃあないか。
と言う事で、ブログにでも書いておくです。はい。
さてさて。
今回見たのは、こちら。
史上最低の胸糞映画と名高い「ファニーゲーム」。
ただ、近所のレンタル屋さんにオリジナルの方はなかったので、usaの方だけども。
何か、これまで見たどの映画とも違った寒気のする映画だった。
とにかく展開が全く読めない。
たくさん映画を見ていると何となく分かってくる予定調和が尽く裏切られる。
どういう展開をするのか全く分からないし、結末がどうなるかも全く予想がつかない。
と言うか、お話自体もほぼ破たんしてる。あり得ない事が起こりまくるし、それを考えられないようなカットや構成で見せてくる。
簡単に言うと絶対的力の前に絶望するだけの映画だった。
ただ、この映画を胸糞映画と言ってしまっていいのだろうか・・・と言うと、多分、それは違うと思う。
この映画だったら、リュック・ベッソンの「つめたく冷えた月」の方がよっぽど胸糞悪いわ。
まず、この映画の中にグロシーンとかエロシーンは、音、映像含め全く出てこない。
殺されるシーンを直接描写することはなくて、見る人が前後の過程から、何があったかを想像していくしかない。
次に、この映画では、徹底して虚構の世界を作り上げている。そして、映画の要所要所で「この映画は虚構ですよ」と言う合図のような演出をはさんで出来る上に、最後の最後で現実と虚構についての分かりやすいネタばれまでしてくれる。
徹底したリアリティーを追求した救われない映画だって、世の中にはたくさんあるけど、そういった類の映画とは一線を画す映画な訳で、この映画を胸糞を言うのは、いかがなものかと思う。
話自体は、ホントにどこまでも救いがない。
そして、この世界を作り出した神様(と言うか、監督)が完全に悪役の男2人に味方している。ことごとく味方している。
一方的になぶられて殺される家族は、とにかく神様に見放されまくっていて、何をしても裏目。何もうまくいかず、少しうまく行ったかと思えば、時間を巻き戻されて、悪役の2人がリトライ出来ると言う、凄まじい理不尽っぷり。
この映画、要するにハリウッドとかの分かりやすいアクション映画、ホラー映画などに対するアンチテーゼなんだよね。
しかも、それをこれでもかと分かり易く。
どれだけリアリティーを追及しようとも、映画と言う虚構の世界で起こる事なんて、その世界を作り出した神様の思惑通りの事しか起きない。と言う事実を、映画を見てる観客に対して、痛烈に風刺してるとでも言うんだろうか。
例えば、勧善懲悪臭の強いアクション映画などで、メッチャ強いはずの悪役が、結局は正義の味方に負ける・・・または、殺されると言う、良くある展開。それどころか、下手したら部下も皆殺しにされて、組織まで壊滅させられたりするなんてこともあると思う。
これだって、悪役側の視点から見てみれば、このファニーゲームの家族そのものなんだよ。
巻き戻しの部分だって、見た瞬間思い出したのは、ドラゴンボールの映画「復活のF」。あれも、フリーザが地球を破壊した後、ウィスが時間を戻して無かった事にしたよな。
では、ドラゴンボールを史上最低の胸糞映画と言うのだろうかと言う話なんだよ。
悟空がフリーザにやっても良いけど、ポールとピーターが、ジャックとアンにすると史上最低の胸糞映画になる。
それは、世界を作り出してる監督が恣意的に方向性を決める事が出来る訳で、見ている側はまんまとその思惑通りの感想を持たされてしまう。
もっと言うと、一方的な価値観の上では、どんな行動も正当化されると言う現実まで痛烈に批判しているのかも知れない。
そんな虚構(映画)と現実の関係こそが、テーマであり、それを、敢えて胸糞悪いと世間的に言われるであろう展開にコメディーを混ぜ込んで描いたものが「ファニーゲーム」。
最初は、それが分からないから、すっごく背筋が凍るような思いをするけど、それが分かって見直してみると、バタリアン級の名作コメディーなんだよ。
偏見を持たずに見たらいいと思う。
この映画を胸糞映画だと言うやつは、この世にあるほぼ全ての物語と言う虚構の世界を否定していると言っても過言ではないかも知れない。
何か、すごく考えさせられる映画だったです。
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