2023年9月28日 12:45 CAT :
       

過去の自分を見つめ直すと言う名の水増しシリーズ第1段「青い月の夜~その4」

【前回までのあらすじ】

と言う事で、10年前に書いた記事「青い月の夜」の続きでございます。

長くなってしまったけど、今日で最後でございます。

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この年の文化祭でバンド演奏したのは「ピンポンバンド」だけだった。

さぞかしちやほやされて、クラスでの扱いも変わると信じていた。

でも、結局何も変わらなかった。

文化祭が終わったあと、バンドは解散とは明言しないものの、その後結局全メンバーがそろう事は一度もなかった。

そして、またオレは一人になった。

唯一変わったのは、もうH君と会うことがなかった事だろう。

次にH君とあったのは、中学校の卒業式の時だった。

卒業式も終わり、特に何をするわけでもなかったオレは、何も書き込みのない真っ白は卒業アルバムを持って帰ろうと自転車置き場に向かっていた。

自転車置き場には、3学期に入って初めて学校に来ていたH君がいた。

彼はオレを見つけると、少しだけ嬉しそうに駆け寄ってきて不意にオレに話しかけた。

あの日以来・・・実に半年・・・以上振りの会話。

H君は唐突に「お前といた時間が結局一番楽しかったです。」とだけ言い、ぺこりと頭を下げた。

文化祭以降、H君を事あるごとに罵倒して話のネタにしていたオレは、周りの目を気にしながら「お前はホントうざかったよ。」とだけ吐き捨てるように言い放った。

彼は、苦笑いして「相変わらずやな」と言い自転車に乗って去っていった。

それ以降、H君とは一度も会っていない。

今にして思えば、H君がバンドをやると言ったのは、オレの脅しに屈服したわけじゃあなく、オレと一緒に何かをする行為に意味を感じてくれていたのかも知れない。

今でも時々、あの卒業式の時のことを思い出す。

音楽を始めた時の話をすると、決まってこの話を思い出す。

T君には、「モテたかった」「目立ちたかった」と言う不純な動機があったのだろう。

オレには、「自分が如何に天才かを愚鈍な奴らに知らしめたかった」と言う不純な動機があったのだろう。

でも、H君には、もしかしたら一番不純じゃない動機があったのかもしれない。

だから譲れなかったのだろうし、そしてあの卒業式につながっていくのかもかもしれない。

後半は、ほとんどオレの妄想だけれども、きっと、そんなに外れてないような気がする。

(もっとも今、H君に出会って、その話をしたところで、苦笑いで否定するだろうけども。)

彼との思い出も、じつは結構ある。

後日談も、ちょっとあったりする。

それについては、またブログで書くか、もしくは「ひとときの暗がり」の中で触れるかするかも知れないし、書かないかもしれない。

・・・少し、長々と昔語りになったな。

そんなお話でございます。

・・・これでいいのだ。

・・・これでいいのか。

4日に渡ってお付き合いいただき、ありがとうございました。

明日からは、またいつも通りな感じになると思うよ。

じゃあの。

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