- 2011年2月4日 23:47 CAT :
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あまつさえ死ぬ事など出来やしないのです
直下、顔を覗き込むと、それは高さ50mはあるだろうか。
横にいたあなたは、何躊躇うでもなくそのまま飛び降りていった。
50m下には、地面なんてありやしなくて、ただただ、ぽっかりと穴が開いている。
穴の周りには、少しどす黒い金色のような黄土が、ぬめぬめと覆いつくしている。
きっと嫌な所だ。
飛び降りたあなたは、その穴の中から、なんとも深いそうに、左手だけを突き出し、そうやって、少しずつ沈んでいった。
まるで、沼のような情景。
ぽっかりと開いた穴は、ただ、誘う。
誘われるがままに、次々とあなたたちは飛び降りていく。
直下50m。
誰も死にはしない。
喜びもしない。
不意に、悲しみに包まれる。
穴の中の事をなぜか、知っていた。
それは、情景を頭の中で回想するわけではなく、感覚を全身が覚えているような知っている。
さようならと呟いてみよう。
そうすれば、きっともう全てが終わる。
・・・そんな夢を見た。
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