2015年6月24日 23:47 CAT :
       

「GREEN vs RED」について書いてみたらこんなに長くなってしまいました。4年ザクロ組志茂田 聾二

ルパン三世史上、最大の問題作と言われる「GREEN vs RED」を見た。

全く知らなかったこの作品なんだけど・・・感想を一言。

いやね。

どうしても書くたくなってしまったんだよ。

どうしても。

結論を先に書いてしまおう。

めえええええええええええええええええええええええええええええっちゃくちゃ面白かった。

ルパン三世の、最高傑作と言えば真っ先にこの2つが思い浮かぶと思う。

宮崎ルパンとしての最高傑作「カリオストロの城」。

テレビルパンとしての最高傑作「バイバイリバティー危機一髪」。

この二つに勝るとも劣らない。

物語としての最高傑作。

それが、この「GREEN vs RED」だ。

間違いない。

とは言え、「GREEN vs RED」自体は賛否両論。

特に「否」の意見が多いらしい。

その人達の意見はこうだろう。

「こんなもん。

ルパンじゃあない」「話が難解すぎる」
ルパン三世と言えば可愛いヒロインが出てきて、ド派手なアクションを楽しめて、いつものメンバーが大活躍する爽快な冒険活劇。

それを期待する人の気持ちも分かる。

だって、それはあくまでも何十年もかけて作りこまれた、テレビ版ルパン三世のテンプレートなんだもん。

アニメルパン三世である以上、そのテンプレートから逸脱する作品は、「ルパンじゃない」となるのは当然。

でも・・・それでも、オレはこのルパン三世は、圧倒的に面白いと思う。

理由でも書いてみよう。

ここから下は、ネタばれするよ。

未見に奴はぜったい読まない方が良いよ。

絶対後悔するよ。

分かったな!!


よし、準備はOK。

では、語らせて頂こう。

この最高傑作ルパン三世「GREEN vs RED」をね。

難解なストーリーのお陰で、どう解釈をするべきか?そんなサイトが数々ある。

でも、そのどれが間違いと言うわけでもないと思う。

全てが正解。

結末や、言動をあえて曖昧にすることで、見た人間が考える余地を大きくする事で、人それぞれに感想が変わってくるように、あえて作られた物語だから。

「いやいや。

その解釈はおかしい。」と言う議論は、意味がない。

「その解釈は面白いけど、オレの解釈はこうなんだよ」と言う議論こそ、この「GREEN vs RED」を見る正しい姿勢なんだろう。

な、上で、オレの解釈。

まず、物語の中にちりばめられた情報量があまりにも膨大すぎる。

その一つ一つに対して感想とか解釈を書いていくものなら、何日かかるんだよ。

と言う話なわけで・・・

「ナイトホークス社」の話も、「アイスキューブ」の話も、「ローガンの過去」の話も、「長崎の原爆投下」の話も、「昨今の若者に対する警告」の話もこの際、すべて置いておこう。

これ一つ一つで、昨今のルパン三世テレビスペシャル1回分くらいの情報量があるけれども、それでも置いておこう。

語るべきは、ひとつ。

結局、本物のルパン三世とは誰なのか。

これしかないと思う。

この物語。

まず、メタ的な視点で描かれた、反則技のようなルパン三世だと思うだろう。

なんせ、これまでのテレビシリーズに、映画、テレビスペシャル、OVAなどありとあらゆるルパン三世がその当時のキャラクターデザインで出てくるんだもん。

「カリオストロの城」の頃のファセットに乗ってるルパンがいれば、「vs複製人間」の頃のベンツに乗ってるルパンもいる。

丸顔のルパンがいれば、馬面のルパンがいて、イケメンのルパンがいれば、アホ面のルパンだっている。

緑色の背広ルパンがいれば、赤い背広も、ピンクの背広のルパンもいる。

あるルパンが、カリオストロデザインのルパンに対して「お前何も盗んでない癖に」と言えば、そのルパンが「オレが一番有名で人気のあるルパンだ」と食ってかかる。

今回の主役とも言えるヤスオルパンに至っては、「カリオストロの城」を見てルパン三世に憧れを抱いている普通の青年なんだし。

物語の中で、本物のルパン三世ももちろん登場する。

この赤背広のルパンが本物のルパン三世で、ヤスオルパンはルパンが「アイスキューブ」を盗むために利用した、ただの狂言回しなのね。

で、話が終わってしまうのであれば、この物語は、きっとこれまでのルパン三世と同じものだったはず。

でもそうならないのが、「GREEN vs RED」なんだよ。

今回の話で「本物のルパン」として登場する赤背広のルパン三世。

彼も、実は本物のルパンじゃあない。

この「GREEN vs RED」における「本物のルパン三世」でしかない。

つまり、「GREEN vs RED」において、「カリオストロルパン」が偽物であるように、「カリオストロの城」の中では今回の「GREEN vs REDルパン」は偽物である。

ルパン三世とは、その物語物語において、中心となる犯罪者の事であり、誰が今度のルパン三世になるのかは分からない。

本物のルパン三世とは、結局、人々が作り出した幻想の人間象の集合体でしかない。

ルパン三世とは、特定の誰か一人の人間ではない。

これが、結論で間違いないと思う。

これは、実際にしばらく「ヤスオルパン」と行動を供にしてた次元が、次元が「本物のルパン」にあった時に、「本物かどうかなんて問題じゃねぇ。

組んだら他のどんな奴とやるよりも面白ぇ。

そう言う奴の事だろ、ルパンって奴ぁ。

そいつはおめぇよりおめえらしいかも知んねぇぜ」と言う言葉に集約されてる。

あとは、紅屋の主人がユキコに言った「男は男に生まれるのではなく男になるのだ。

ルパンもまた然りだ。」と言う言葉ね。

話がそれるけど、あの坊主頭のルパン三世は、ルパンの本当の顔じゃあないんだよね。

実は。

原作漫画では。

ルパン三世の本当の顔は誰も知らない。

中身が同じ人間かどうかも実は分からない。

それが、ルパン三世なんだ。

この内容を掘り下げたのが、たぶん有名な「押井守ルパン」であり、それを再解釈したのが、この「GREEN vs RED」なんだろう。

多分。

知らんけど。

キーとなるキャラクターはたくさん居る。

中でも、やはり気になるのは、「紅屋の主人の爺さん」だろう。

彼が誰なのか・・・

とある解説サイトには、「ルパン一味はそれぞれに、人が変わり、次の人が名前を受け継いでいる」と言う説があった。

二代目ルパンが今作で本物ルパンと言われたルパンで、3代目がヤスオルパン。

そして、初代ルパンこそ「紅屋の主人」だ。

とあった。

この解釈も実に面白いと思う。

ついでに、次元は「次の世代の次元」として、あのマグナムを愛してた少年を、不二子は「次の世代の不二子」としてユキコを・・・

それに気がついた銭形警部が、ユキコに「ルパン三世が犯罪者である事は間違いない。

それでも、あなたは愛せますかな?」と問いかけたのだ。

つじつまが合うと言えば合う。

でも、オレの解釈は違うんだ。

劇中で、次元は「マグナムと40年を共にしている」と言ってるし、銭形警部の年齢がはっきり「63歳の片山の5歳年上」と明言されてる。

ルパン以外のキャラクターは同じ人なんだと思う。

そして、どんどん歳を重ねていってるんだろう。

次々と現れるルパン以外には。

じゃあ、紅屋の主人は誰なのか。

今回の「GREEN vs RED」のルパンは、アイスキューブをナイトホークス社から盗み出すことで、ルパンじゃあなくなった。

そのルパンは一体どこに行ったのか。

そして、最後に不二子が紅屋の主人に対して言った「お疲れ様」の一言。

「GREEN vs RED」ルパンの、原作漫画よろしく、変装の下の素顔こそ、紅屋の主人なんだと思う。

だから、「GREEN vs RED」ルパンが、日本の小学校の椅子に座って「懐かしい」って言ってるんだ。

そう考えると、最後の紅屋の主人の眼のドアップが、どうしてもルパンの眼に見えて仕方がないんだけど・・・違うんだろうかね。

ヤスオルパンも、万引きルパンも、アフロルパンも、本当の顔があり、それは全て普通の人間だった。

「GREEN vs RED」ルパンだって、本当の顔が普通の人間であっても全然違和感はないと思うんだけどな。

多分語られてないだけで「カリオストロルパン」も変装を解けば、何かしらの普通の人間なんだろう。

長くなったけれども、この結論を持って、ルパン三世とは誰か。

と言う「GREEN vs RED」のテーマを改めて考えてみる。

世間で作られ続けられる数々のルパン三世像がある。

ビジュアル面でも、性格の面でも・・・

ルパン三世がハードボイルドだと思うファンからすると、近年のTVスペシャルにおけるドタバタルパン三世は「あんなもんルパンじゃねえ」と言うだろう。

テレビルパン三世ファンにとって、宮崎駿の「カリオストロルパン」は「ルパン三世じゃなくて、宮崎ルパンだ」と言うだろう。

近年のルパンしか知らない世代は、ファーストの頃のハードボイルドなルパンを見て「こんなのルパンじゃねえよ」と言うだろう。

こうして肯定され、否定され続けていくルパン三世と言う人間。

それは、今後も作品が作られ続けていく以上は終わる事はないだろう。

この「GREEN vs RED」はルパン三世誕生40周年記念作品らしい。

あえてメタ的な表現を出しつつ、ルパン以外を極限までリアリティーのある描写で表現し、そして、ルパン三世とは誰なのかを言う問いかけを行う事で、40年かけて生み出されてきた数限りないルパン三世と言う存在、すべてを肯定し、全てがルパン三世であって然るべきであると言う事を言いたかったんだと思う。

これが、この物語の最大の根幹だと、オレは感じた。

オレが感じただけだからあってるかどうかは知らない。

でも、オレはそう感じた。

と、同時に、次元がヘリに乗ってた「殺人鬼ルパン」に対して言ってた「痛え目みたほうがいいのさ。

どうあがいても、他人のふんどしじゃ相撲はとれねぇんだからなあ。」と言うセリフから、近年のTVスペシャルにおける「ルパンなら、どうしたってある程度数字獲れるだろう」と言う感じへの風刺じゃないのかな~とね。

誰でもルパン三世になれる訳じゃあない。

そう考えてる奴は痛い目を見た方が良いんだよ。

と言う、メッセージだと。

いやね。

ホント、最近ルパン三世を片っ端から見直してたんだけど、「暗殺計画」位までのあの凄さよ。

そして、近年のガッカリ具合よ。

40周年を記念して、さらに進化するよ。

ルパン三世は!!と言う、良い意味でも取れるけどね。

残念だったのは、あまりにも時系列がバラバラ過ぎて、絶対1回見ただけじゃあ、内容を把握できない事か。

(冒頭のシーンが、まさかヤスオルパンになってしまったヤスオが、まだその実感がない。

と言う過渡期の状況だったとは、初見で絶対気がつかないって・・・などなど。)
そして、やはり、「カリオストロルパン」とか「複製人間ルパン」の声を山田康雄さんがやってくれれば・・・まぁ、これは無理な願望だけどね。

もし、これがかなって、「山田ルパン vs クリカンルパン」の構図で、最後に山田ルパンが引退して、クリカンルパンが次のルパンとなり、最後の「今度は新型だ!!」のセリフにつながっている、正式な声優交代の意味を持つ作品だったとしたら、この作品の評価から、否の意見はかなり消し飛んでたかも知れないな。

などなどね。

まだまだ、書き足りないし、これから10回、100回と見返すたびに新しい発見もあるかも知れないけど、今日のところはこれが精いっぱい。

しかし、随所に見られる演出と音楽が往年のルパンファンなら、誰でもニヤニヤするし、演出とか、抜群にカッコいいのに、これ・・・なんで、もっと有名にならないんだろう?
と、腑に落ちない気分でいっぱいでございます。

あぁ~長々いっぱい書いた~
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