2024年7月7日 12:45 CAT :
       

陳腐な物語~七夕変

七夕の日でございます。

だから何だと言うと、何でもないですと言う話だけれども。

折角なので、少しだけ七夕にちなんだエモい小話でも書こうかと思った。

思ったんだけど、流石にそんな陳腐なものはいかがなものかと。

七夕にちなむ物語。

ふと頭の中に浮かんできたのは、一人のおじいさんだった。

かつて、最愛の人など一人もいないまま、孤独に年老いていった一人の老人。

自分の人生とはいったい何だったのかと、毎夜眠る前に、それまでの人生を回顧し、ただただ呆然とするだけの毎日。

幾らかつての毎日を振り返ろうとも、そこに意義のある何かを見つける事は出来ない。

それを悲しいと思い涙を流す事すら出来ない程に、もう年老いてしまった。

このまま、何ら意味を見いだせないままに人生を終えるのだろうと、その全てを受け入れた。

そんなある夜。

あまりにも老人を哀れに思った一人の神様が気まぐれで、老人にかつて若かりし頃に出会ったであろう最愛の女性を思い出させる夢を見せた。

ふと老人はその事を思い出し、実は自分の人生に対して意味がないと言うのは、とてつもなく尊大な考え方であったことを知る。

人生とは、自分で選択することが出来る。

選択の結果、ここに存在している訳であり、因果の鎖の果てに現状があるのだとすれば、その選択の答えであると言うだけで、その人生には意味があるのではないか。

奇しくもその夜は七夕。

1年に1度しか最愛の人に出会えない選択をしたものの話に思いを馳せつつ、最愛の女性と添い遂げる選択をしなかった老人は静かに眠りについた。

その顔には、ここ数十年なかった不思議な安堵があったという。

やっぱり、陳腐な話になった。

分かり切ってた結果になる。

それもまた人生。

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