- 2025年1月20日 11:11 CAT :
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新春の読書感想文「ルックバック」を見ての感想 12年ザクロ組 しもたろうに
今更ながら、「ルックバック」を見た。
漫画の方は、ジャンプラで発表された時に読んで「なんじゃ、この心揺さぶらる感じは!」とホント感激した。
ただ、映画化すると聞いた時、「いや、あの漫画はあれで完成してるんだから、もうこれ以上こねくり回す必要ねえよ」と思ったもんですよ。
原作が素晴らしい場合、映画へのハードルってどうしても上がってしまう。
なので、期待しないで見ると言う姿勢で見るように心がけている。
そんな感じで、いざ鑑賞。
うん。
これはですな。
一言で言うと・・・凄いね。
想像の遥か斜め上をかなり鋭角に行く勢いで良かったよ。
何が良かったって、まず制作した人達の原作リスペクトがえげつない。
多分「これ以上こねくり回さなくても完成してる」と思ってたんだろう。
良い意味で原作のまんま。
それに、アニメーションならではの補足をしてくれているだけ。
予算の都合もあったのかもしれないけど、1時間程度のショートムービーだったのも良かった。
これ2時間尺の映画にしてしまうと、それこそこねくり回す必要も出てきたろうけど、短かった事もあってスピード感までほぼ原作のまんま。
それでいて漫画ではできなかったアニメーションならではのカメラワークと演出を原作のイメージを破壊しないように絶妙に入れてくる。
漫画を読んだ読者が脳内で保管するであろうイメージをアニメーションで表現する感じ。
音楽も然り。
だから、全てにおいて全く違和感がない。
漫画原作のアニメでここまで違和感がなかったものなんてオレの記憶にはないと思う。
作品としては、ほぼ完璧。
「この世界の片隅に」以来の感動だったと思う。
映画として素晴らしい・・・
素晴らしいんだけど、それとは別のベクトルでも個人的な感想として終始涙が止まらなかった。
これねぇ・・・ダメですよ。ホントに。
ズルいよ。
こんなん冷静な感情で見られる訳ないって。
創作活動してる人なら全ての人に当てはまる。と言えるかどうかは分からない。
でも、オレ個人で言えば、要所要所で自分のこれまでとダブってしょうがない。
「オトナ帝国の野望」と言う映画の中で、有名なひろしの回想シーンを見て、子どもを連れてきていたお父さん方のすすり泣きが映画館中に響いていたと言うのと同じ感じ。
まぁオレもあのシーンはいつ見ても号泣するんだけどね。
あれに近いかも知れない。
オレが人生で初めて作品を認めてもらえたのって、「付喪神」って演劇台本を当時の演劇部部長さんに「凄く良かった」と言ってもらえた時だと思う。
あの時オレは照れ隠しでぶっきらぼうに「そうですか。今回は没にならなくてよかった」みたいなことを言ったけど帰りにはスキップしながら帰った。
その感じが、まんま藤野さんが京本さんに「ファンです」って言われた後スキップするシーンだったんだ。
この監督はオレの心情を知ってんのか?と思うくらいあんな感じだった。
ここであの当時を思い出して、もうおっちゃん号泣ですよ。
その後も至る所で「あああああああああ!」ってなる場面が頻出した結果、ずっと涙腺崩壊しっぱなし。
とは言え、結局、身内に褒められはするけどそれ以上の何かになる事無かったオレの人生を重ねた場合「ifストーリー」なんだよね。
だから泣いてたのは前半が多かったな。
それでも、全部見終わった後「はぁ~」ってなって改めて涙が止まらなくなった。
他の人の人生がどうなのか知らないので、創作活動をする全ての人が経験するものなのかどうかは分からない。
ただ、少なくともオレにとっては、自分の人生を絵取り直して、何か良く分からんけど泣いてしまった。
そんな映画でした。
「救いがない」とか、「結局何だったんだ?」とか、「クリエイターのエゴでしかない」とかそんな感想を持つ人もいるかも知れない。
でもそんな奴は放っておけばいいんだ。
そんな奴には一生理解できない感情と言うものがあると思う。
今でもね、時々思い出すんだよ。
夜遅くまで残ってみんなで演劇を作ってた事。
ブーって言う変態と2人で部屋にこもって徹夜で漫画を描いてた事。
スタジオにこもってバンドメンバーと曲作りをしていた事。
練習する場所が無くなって深夜の公園で演劇の練習してた事。
などなど・・・
あの頃のキラキラと輝いているものがね。
当時一緒に何かを作っていた奴はみんなやめてどこかへ行ってしまった。
オレは今でも机に向かって一人で漫画や小説を書き続けている。
オレだけがどこかへ行けなかったのか。
オレだけが残ることが出来たのか。
どっちが正解だったのか。
この辺りの事は全く分からない。
でも、今が最悪なのかと問われればそんなはずが無いと言う事は断言できる。
ただ、あの頃が時々キラキラと思い出されると言うそれだけの話ですよ。
「ルックバック」を見た時、その辺りの何となく心の奥に閉じ込めたままユラユラとくすぶっていた感情が溢れ出てきたんだと思う。
素晴らしい映画を見ることが出来たので、創作意欲がメリメリ出てきている。
さぁ、漫画を描くぞおおおお!
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