- 2024年7月16日 12:06 CAT :
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マンガを大考察シリーズ(1)「ホムンクルス」 ~その3
そんな話が色々ありまして、「ホムンクルス」と言う漫画を考察していきます。
ここに来て、チョッとだけアーカイブをご用意いたします。
【マンガを大考察シリーズ(1)「ホムンクルス」】
「ホムンクルス」と言う漫画には、分かりやすい答えは書いてない。
読者に考える余地をたっぷり残してくれている漫画。
それを心地いいと思う人と、気持ち悪いと思う人の2つに絶対的に分かれると思う。
この作品の評価が賛否両論なのは、この為なのは間違いない。
心地いいと思う人は、今で言う所の「しりあがり寿」先生みたいな漫画とかが読んでいて楽しいんだと思う。オレもそう。
逆に気持ち悪いと思う人は、やっぱり少年漫画的な気持ちいい読後感のある漫画が読んていて楽しんだと思う。オレもそう。
どちらにも共通する事は、自分で見つけるにせよ、作者さんが用意してくれるにせよ、答えを自分の中に持てると言う事。
完結するまでは、その答えを持つことが出来ないから、未完の作品ってモヤモヤするんだよ。
聞いてますか。冨樫先生。萩原先生。・・・岩明先生、お疲れさまでした。
なので、ここから書く事はあくまでもオレの中の答えでしかない。
その前に、多分、誰もが分かっている事実を羅列しておこう。
〇「ななみ」と「ななこ」は別人
結局、「ななみ」は「ななこ」が整形した姿だったの?それがばれない為に頑なに拒否したの?と思うかもしれないけど、ここは別人で間違いないはず。お腹の子どもの事を知っていたから、同一人物と言う見方をする人も居るかも知れないけど、「ななみ」と「名越」は同じような経験を持つことでホムンクルスが見えていると言う事なので、「ななみ」もおそらく「さとし」の子どもを妊娠した上で、逃げられていたのだろう。と読む方が正解だと思う。
〇「ななみ」はセックスの後死亡した
名越にトレパネーションを施された後、激しいセックスをしたため(もしくは、手術段階で失敗していた?)、その後ホテルで死亡しているはず。そうじゃないなら、あの傷口から出血する描写をわざわざ描く必要はないって。
〇「伊藤」は「名越」に恋をしていた
途中経過はともかく、自身を救ってくれた名越に対して、伊藤は恋をしていた。ここに恋愛要素が絡まないのであれば、伊藤が性同一性障害を持っているという設定自体が必要ないと思う。(もしくは、その設定のための色んな展開を作って丁寧に描写する必要はないと思う。)
それに、最期に伊藤が警察を呼ぶシーンがオレの中では、「ヒミズ」のラストで茶沢さんが住田の為に警察を呼ぶシーンと酷似して見えたんだよね。
名越はあれから1年の間に、第2・第3のななみを見つけて、トレパネーションによって殺害している可能性もある。
もしくは、このままセルフトレパネーションを続ける事で名越自身が死んでしまう事を恐れた可能性もある。
どちらにしても、自分がきっかけで最愛の人をこれ以上苦しませたくないという気持ちで警察を呼んだという解釈に変わりはないかと。
〇名越はホムンクルスを見ていた
作中何度も伊藤が「幻覚だ」「妄想だ」「プラシーボ効果だ」と言っていたけど、実際に名越には「ホムンクルス」は見えていたはず。そうでなければ説明のつかない描写が作中で、くどい位繰り返されている。
伊藤が「経験にあるものしか見えない」と言った後に、経験のないものがしっかりと描写される。
作者の上手い所は、経験が無かったはずなのに見えていたホムンクルスの中に、「実は名越が忘れていただけだった」事実を時々提示することで「結局どっちなんだよ」と読者に思わせているところ。
ただ、最後の最後「イタさん」のホムンクルスで、完全に経験にあるはずもないものを提示することで、「実際に見えていたこと」を説明してくれてる。・・・はず。
〇名越は整形しているエリートサラリーマン
作中で、「虚言癖がある」と散々言われているけれども、名越自体の過去については、作中に出てきた通り。実は整形前の顔や記憶を改竄して、それすらも忘れている、
本名はサトシで、ななみのホムンクルスの顔が本当の名越の整形前の顔。
「ななみ」はやっぱり「ななこ」と言う見方はさすがに捻りすぎだと思う。
とにかく作中にミスリードが多くて、結局どれが真実なのか分からないので、まずはここを確認しておく必要がある。
と言うか、この確認だけで、めっちゃ長くなってしまった・・・
そんなところで、次回を待て!
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