- 2026年1月4日 12:12 CAT :
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新春の読書感想文「点と線」を読んで 4年ざくろ組 しもたろうに
実際読んだのは12月の暮れな上に、この記事を書いているのが12月27日なので、何が何だかよく分かんないけど、この感激の気分をここに書き記しておかない訳には行かない。
と言う事で、久々に小説の感想でも書いてみようかと思っております。
そもそもは、昨年(2025年)のお盆に親父に「横溝正史の小説を読みたいから貰っていくぜ」と言った事に由来する。
その時親父に「好きなものを持っていけ。でも、横溝読むならこっちも読んでおかないとな」と渡されたのが、松本清張の代表作「点と線」だった。
何でも戦後に出版された推理ミステリーの最高傑作だそうで・・・
そこまで言うなら読んでみるか。と思っていたんだけど、ワンピース読むのに夢中ですっかり忘れていた。
そんな経緯でございます。
ワンピースもめでたく60巻まで読破したので、じゃあ次に読んでみるかと手に取ったが最後。
余りにも面白くて、夜も寝ないでほぼ一気に読み切ってしまった。
小説1冊を1日で読み切るとかいつ以来の事やら。
そんな長くないとはいえ、240ページくらいある訳で、まぁまぁの分量ですよ。
それを一気に読み切るほどに面白かった。
ただ、これはあくまでも推理ミステリ―な訳で、ネタバレ厳禁。
もし未読の方や、オチを知らない方はこれ以上は読まない方が良い。
別に良いと言う人だけ、この後もお付き合いくださいませ。

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もう良いかな。
感想を書いておくと言いつつ、正直感想と言う感想もないんだよね。
推理ものって面白かったぁ~と言う感想しかないものなんだよ。
とか言いながら、今から長々と書いていくけどな!
閑話休題。
この作品が発表されたのは1958年だそうなので、今から70年くらい前。
時代背景としては、戦後すぐくらいの感じ。
江戸川乱歩や横溝正史の小説をよく読んでるオレは、何となく時代背景をつかむのも苦労しなかったけど、そうじゃない今を生きる人にはその辺りが難しいかも知れない。
アリバイトリックが飛行機を使ったと言う事に対しても、「いや、それは最初に思いつけよ」と突っ込みたくなるだろうて。
高度経済成長期よりも前、飛行機が移動手段として非日常だった時代の事だと背景が分かってないと理解し辛いのはしょうがない。
実際作中の描写を見ても、飛行機が1回のフライトで運べる乗客は50人以下と書いていた。
ジャンボ機など当然なく、小さなセスナ機みたいなものが辛うじて存在していたくらいの話。
専ら人は汽車や電車、船で移動していた時代なんだよ。
飛行機での移動など、すぐに思い付きはしなかっただろうて。
他にも、40分ほど停車していた電車に乗り込む瞬間が4分間の間になければ成立しないとか、なかなか厳しいトリックもあったりなかったり。
その辺りを引っ張り出してきて「どこが本格ミステリーだ!」とか「何が最高傑作だ」と腐す事は出来るかも知れない。
ただそれは今の時代に「鉄腕アトム」を引っ張り出してきて、古臭いと言ってるようで愚の骨頂だとオレは思うけれども。
そもそもの話、この話で一番衝撃的なのはアリバイトリックではなくて、オチと言うかラストなんだよ。
鳥飼刑事や三原刑事が犯人安田のアリバイ崩しに奔走すると言うのが物語のメインであり、手がかりをつかんだと思っては裏取りできずに破綻し「じゃあ、安田どうやって九州に存在したんだ?」と考える。
この過程がとにかく面白いし、ワクワクが止まらない。
次々と新事実が明るみに出て、今度こそアリバイは崩れたかと思ったら数ページ先ではその新事実がアリバイをより強固なものにしてしまう。
ホントにこのアリバイ崩す事が出来るのか?と、まじでページをめくる手が止められなかった。
最もそのアリバイ崩しについては上記の通り、(特に現代の読者にとっては)ツッコミどころが多い。
「どうやって短時間で九州から北海道に移動したのだ?」と三原刑事が悩んでる描写を読みながら「飛行機で飛んだって事は無いのか?この時代ってまだ飛行機なかったっけ?」と、絶対誰もが思う。
そして、結局飛行機で移動していたと言うんだから、アリバイ崩しの段階でがっくり来るのは分かる。
実際オレもそうだった。
でも、この話の凄い所はその後にあったんだよ。
本当の真犯人が安田ではなく、安田の妻亮子だったと分かった時の衝撃よ。
オレは、この本を読んでいる時、その時々のアリバイ崩し、その時々の人物の心情をずっと追っていた。
アリバイ崩しのトリックの出来に一喜一憂してた。
正に、場面場面と言う「点」でしか物語を見ていなかった。
ところが、物語の終盤。
三原刑事の報告の手紙を読むと、亮子の安田に対する情念が最初から最後までまさに「線」のように連なっていた。
一見すると、汚職事件を隠したい某省の思惑のために安田が殺人を犯した事件なんだけど、実はそれら全てが亮子が情念に駆られて安田とお時を殺す復讐劇だったと言う展開はまさに鳥肌もの。
某省の石田部長が、安田が佐山を殺してしまった事に(しかも、お時と一緒に情死させたように見せかけて)焦ってしまうと言う描写も後から考えると別の意味が出てくる。
多分、石田部長は安田に「殺せ」とは命じてない。
「佐山をどうにかしろ」とか、「佐山が自殺するように追い込め」と言っただけだと思う。
それを本来殺したかったお時を殺すために利用した亮子の情念と計画性の恐ろしさは圧巻の一言しかない。
タイトルである「点と線」とは、点で物事を読んでいくだろうけど、全てはひとつの線に帰結してくんだよ。と言う事なんだろう。
本格ミステリーものだと思って読んでいたら、その実は物凄く怖い心中ものだったと。
そらぁ衝撃受けますわ。
そう考えると親父がこの本をオレに勧める時、やけに「日本最高のミステリーだ」と強調していたのは、オレに名作ミステリーとしてこの本を読ませたかったからの様な気がしてならない。
あの親父。やってくれやがったな。
いやはや、ホントに面白かった。
一番のトリックはタイトルの伏線回収だったと言う物語構造自体が凄すぎる。
70年前の推理小説ではない。
余裕で現代にも通用する名作小説だった。
と言う事で、この後、同じく鳥飼、三原両刑事が出てくる続編「時間の習俗」を読むことにします。
まだまだオレの知らない面白い作品がこの世には溢れていると言う事らしいですな。
したらな!

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